【野球】イチローに大統領自由勲章が浮上する可能性とアメリカ政府の思惑

4/16(火) 9:26配信
メジャーリーグ通信】

 イチローが2001年、04年の2回にわたって授賞が検討された国民栄誉賞を、3度目も辞退した。

 代理人を通じて内々にイチローの意向を打診したところ「人生の幕を下ろした時にいただけるよう励みます」と断られたことで、イチローが生前に国民栄誉賞を受賞する機会は実質的になくなったと言えるだろう。

 周知の通り、イチロー国民栄誉賞を辞退したことは日本国内で大きく報道された。米国でもマリナーズの地元の「シアトル・タイムズ」や有力紙「ワシントン・ポスト」などが取り上げており、イチローが名誉の賞を辞退したという出来事が話題性を持っていることが分かる。

 ところで、米国において、文民に対する最高の名誉は合衆国大統領が授与する大統領自由勲章だ。

 大統領自由勲章は米国の国益や安全、世界平和の推進、文化活動などにおいて特に称賛に値する貢献を行った個人に与えられる。これまでジョン・F・ケネディヨハネ・パウロ2世、トム・ハンクスらの政治家、宗教家、俳優など、生前か死後か、米国民か外国人かを問わず、世界的に名を知られた人々が幅広く受章している。スポーツ選手も授章の対象で、大リーグからもベーブ・ルーステッド・ウィリアムズジャッキー・ロビンソンら、球史に名を残す大選手たちが栄誉に浴している。

 日本人選手として初めて米国の野球殿堂に入ることが確実視されているとはいえ、イチローがこれらの人物と比べて傑出した功績を残しているとは言いがたいかもしれない。

■相手国との関係改善

 それでも、あらゆる勲章が「与える側の人気取り」という側面を持つように、大統領自由勲章も多分に政治的な意味合いを含む。外国人に与える場合には、大統領自由勲章は相手国との友好親善の促進や関係改善という役割を担うし、スポーツ選手を対象とする際には大統領の庶民性の強調という意図も隠されている。

 現在の日米関係は良好とされるものの、対米依存からの脱却を要求するトランプ政権の基本的な対日政策を考えれば、「ドナルド―シンゾー」の間柄も永遠ではない。

 だからといって日本が中国やロシアとの連携を深め過ぎることは、米国にとって得策ではない。米国政府が日本を軽視していないことを明示し、米国内の有権者の歓心を買うために有効な手段のひとつが、著名人に大統領自由勲章を授与することであり、イチローは日米でともに名の知られた格好の対象となる。

 当然ながら、米国政府の思惑はイチローの意向とは関係ない。それだけに、米国政権側が利用価値を認めれば、イチロー大統領自由勲章の授章を打診することもあり得るのだ。

(鈴村裕輔/アメリカ野球愛好会副代表)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190416-00000013-nkgendai-base